目の病気<1>

 本校に在籍する幼児・児童・生徒で比較的に多い目の病気を概念症状日常生活の留意点教育上の支援の4つでまとめてみました。

目の病気の一覧
 1.網膜色素変性症
 2.糖尿病性網膜症
 3.角膜混濁
 4.網膜剥離
 5.黄斑部変性症
 6.視神経萎縮
 7.未熟児網膜症
 8.網膜芽細胞腫
 9.白内障
 10.緑内障

網膜色素変性症
1 概念
 眼底の網膜が次第に変性してゆく(悪くなる)病気で両眼性です。変性した部分には、針状の(骨小片様)の黒色の色素が出る事が多いので、色素変性症という病名がついています。
2 症状
 10才過ぎ頃から症状が出始める事が多く、はじめは夕方や夜などの暗い時だけが見えにくくなりますが、病気が進むと視野(見える範囲)が次第に狭くなり、昼間の明るい所でも見えにくくなります。ついには周辺部は全く見えなくなって、中心部のごく狭い範囲だけが見えるという状態になります。網膜全体が汚い灰色に濁り、黄斑部に骨小片様の黒色の色素が出る事、末期には、視神経乳頭が黄色移植を起こす事、網膜血管が細くなる事、暗順応ERG(網膜電位図)が早期から消失する事などがこの病気の特徴です。また、白内障を合併する事が多いです。視力低下の原因が合併した白内障である場合は、白内障の治療をすれば視力の回復を図れます。
 決定的な治療法は確立していませんが、血液循環を促すために血管拡張薬とビタミンEなどが用いられます。最近では網膜移植など治療法の研究が進められています。

 ※ERG(網膜電位図)・・・網膜の電気反応を調べる検査です。小さな皿状の銀電極を額に付け電極のついたコンタクトレンズを目の角膜にのせて、その上から明るい光をあて、眼底の網膜に起こる電位を調べます。網膜が健康な場合には、大きな振幅の波が得られますが、網膜が悪くなっていると振幅が小さくなったり消失したりします。
3 日常生活の留意点
 明るい所へ出ると眼底の網膜は非常に活発に活動するので、網膜に安静を与えるため、また、羞明(しゅうめい)などの自覚症状の緩和のために、明るい所ではサングラスを装用します。10才頃から夜盲が出始める事が多いようですが、初期には夜盲が軽く、もの(ゴミ箱、段差など)につまずきやすいといった程度で、本人は気付かないという事がよくあります。この時期にERG検査を行うと診断がつきます。
 日本網膜色素変性症協会が設立され、病気や治療法についての最新情報を提供できるように支援活動を行っています。定期検診の他、こうした団体を通じて新しい知識を得る事も大切です。
4 教育上の支援
以下の3点を考慮してください。
  〇詢歪祺
 ◆〇詭遒龍垢
  明るさが変化した場合に目が慣れるのに時間がかかります。
具体的には、
  ゞ擬爾任虜太覆琉銘屬鰐世襪い曚Δよい場合と暗いほうがよい場合があります。
 ◆ヾ上の照度は一定以上(300〜400ルクス)の確保が必要です。
  文字や図の拡大倍率は、視野欠損の程度に応じて行う必要があります。(大きすぎてかえって読みにくい場合があります。)
 ぁ〇詭遒狭い場合、大きなものの認識に時間がかかったり、困難な場合があります。
 ァ^刷物・教材等は明度(コントラスト)を明瞭にします。
 Αヽ搬臚表餞錣硫萍未凌Г聾朕佑見やすい配色にします。(一般的に文字は白黒反転が見やすいです。)
 А|戯行動では適切な援助が必要です。(板書やプリントは視点をおく位置を指定します。)
 ─^榮阿鯣爾Τ萋阿任蓮段差・障害物・急激な明るさの変化に際し、援助が必要です。
  明るい戸外での活動では、眩しいため、遮光眼鏡を使用をすると見やすいです。
5 参考文献
 (1)「眼疾患 説明の仕方と解説」 金芳堂 
 (2)「現代の眼科学」 金原出版
 (3)「リハビリテーション医学全書12 視覚障害第2版」 医歯薬出版
 (4)「視力の弱い子供の理解と支援」 教育出版
糖尿病性網膜症
1 概念
 糖尿病による合併症の一つです。糖尿病で高血糖が続くとまず、全身の細い血管に障害が起こります。網膜には細かい血管が縦横に走っていますが、血中のブドウ糖が多くなると、血管に瘤(コブ)ができたり、詰まったりして血液の流れが悪くなります。すると、網膜が酸素欠乏状態となるため、血管がさらにもろくなり、血管壁から血液中の成分が漏れ出したり、血管が破れやすくなったりします。さらに進行すると、広い範囲で血管が詰まったり、異常な血管が発生するなどの変化も起きてきます。このような血管の異常によって、さまざまな障害が起こりますが、現在、日本では成人の失明原因の第1位を占めています。
2 症状
 糖尿病を発症してから網膜症が起きるのは7〜8年後です。但し、網膜症を発症しても、初期には自覚症状が無く、ほとんどの人は気がつきません。糖尿病網膜症は次のように進行します。
 (1)単純網膜症
 網膜症の初期。網膜症で血管が障害されると、血管からしみ出した成分が網膜に沈着して白い濁り(白斑)を生じたり、小さな出血(点状出血)が起こります。また、毛細血管の一部が瘤のように膨れる毛細血管瘤ができる事があります。眼底検査をすれば、このような網膜の変化はすぐにわかりますが、視力や視野にはあまり影響しないので、ほとんどの人は気付きません。病変の位置によっては視力が低下する事がありますが、徐々に低下するので気付きにくいのです。

 (2)前増殖網膜症
 さらに血糖値のコントロールが悪い状態が続くと、点状出血や白斑が増えるだけでなく、網膜の血管が拡張したり、血流が途絶えるなどの異常も起こってきます。この状態は、失明の危険性が高まる「増殖網膜症」の前段階にあたる事から、「前増殖網膜症」と言われます。しかし、この段階も顕著な自覚症状はほとんどありません。

 (3)増殖網膜症
 さらに進行すると、網膜の酸欠状態を補うために、網膜に新しい血管(新生血管)が発生し、硝子体へと伸びていきます。新生血管は非常にもろく、ちょっとした衝撃や血圧の上昇で、すぐに破れて出血を起こします。出血が硝子体の中で起こると、外界から入ってきた光が出血で遮られて視界がぼやけたり、黒い影がちらつくなどの症状が現れます。大量の硝子体出血が起こると、光が通らないので目の前が突然真っ暗になります。出血が自然に吸収される事もありますが、多くは失明に近い状態になります。一方、網膜剥離の危険性も起きてきます。新生血管から出血すると、網膜と硝子体の間に「増殖膜」と呼ばれる瘢痕組織ができて、網膜と硝子体が癒着する事があります。この増殖膜は、収縮する性質があり、収縮した時に網膜が眼球壁からはがれてしまう事があるのです。

 ※糖尿病の人は血糖値のコントロールが悪いと、網膜症だけでなく、次のような目の病気が起こりやすくなります。
 ’鯑眈・・・糖尿病の場合は、網膜に近い後ろの方や中の方の水晶体に濁りが生じます。その結果、目の中に入ってきた光が濁りのため散乱し、まぶしさを感じる症状がでます。また、明るい所の方が見えにくいという状態も起こります。
 ⇔估眈・・・糖尿病に合併して起こる緑内障は、その原因から「血管新生緑内障」と呼ばれます。糖尿病になると、網膜だけでなく隅角にも新生血管が発生しやすくなり、これらが隅角をふさいで房水の排出が妨げられます。それによって眼圧が高くなり、視神経が圧迫されて傷ついてしまうのです。
 3梓禧擇泙・・・高血糖の状態が続くと脳の血管に微少の梗塞が起こり、その結果、眼球運動を支配する神経がおかされて、眼球を動かす筋肉の一つである外眼筋がまひする事があります。外眼筋がまひすると、物が二重に見える「複視」が起こってきます。2〜3か月すると自然に治る事が多いのですが、循環を改善する薬の使用が必要な場合もあるので、主治医と相談しましょう。
3 日常生活の留意点
 糖尿病網膜症を予防するには、内科と眼科の連携が非常に重要です。糖尿病と診断されたら内科で血糖値のコントロールをするとともに、定期的に眼科も受診する事が大切です。特に、血糖値のコントロールがうまく行ってない人、神経障害や腎症などの合併症のある人は、網膜症を併発する危険性も高くなるので注意が必要です。
4 教育上の支援
 〇覽’修ほとんど正常な場合から全盲までいるため視覚に対する配慮は個々の病態により異なります。
◆)梢神経障害を伴う場合、指先の鋭敏な感覚を必要とする活動(点字の触読など)は困難です。また、平衡感覚も障害されることがありますので、水平・垂直・立体感・位置感などの認識が、困難な場合があります。
 眼底出血や網膜はく離を起こしやすいので、激しい運動は控える必要があります。
ぁ…齋貪を起こさないように、活動(運動)の内容と強度の自己調節も必要です。
ァ…齋貪発作時は直ちに糖分補給を行ってください。(飴をなめる等)
5 参考文献
(1)「眼疾患 説明の仕方と解説」 金芳堂 
(2)「現代の眼科学」 金原出版
(3)「リハビリテーション医学全書12 視覚障害第2版」 医歯薬出版
(4)「視力の弱い子供の理解と支援」 教育出版
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