目の病気<3>

黄斑部変性症
1 疾患の概念
 網膜にある黄斑部が変性して視力が低下する病気です。遺伝性と加齢性があります。遺伝性黄斑変性には、スターガルト病やベスト病がありますが、近年、日本で中高年の間に急激に増加しているのは、加齢性黄斑変性です。
 スターガルト病は、眼底の中央に黄色斑を伴う萎縮性の黄斑部変性で先天性で遺伝性のものです。視力低下は若年期から始まり、両眼性で20才まで徐々に進行しますが、萎縮は黄斑部にとどまり失明には至りません。
 ベスト病は眼底の変化が視力低下に先行し、視力低下の自覚は30才〜40才に始まる事が多いようです。
 加齢性黄斑変性は、_斑部の中心窩(中心にあるくぼみ)が萎縮してしまうタイプと、¬嵋譴粒安Δ量絡膜から新生血管が発生し、網膜に侵入するタイプに分けられます。特に問題になるには、△離織ぅ廚如△海譴髻峅知霎円板状黄斑変性」と言います。「新生血管」は非常にもろく、すぐ出血したり血液中の成分が漏れ出すなどします。これが黄斑部に起こると、黄斑部が円板状に隆起し、その結果視力障害が起こります。
2 症状
 徐々に視力が低下、色覚が侵されます。初期は、見ている物の中心部が暗く見えたり、よく見えなくなる事があります(中心暗点)。さらに、物がゆがんで見えたりしますが、夜盲はありません。視覚の特性としては、中心暗点があるために変性の無い周辺部の方が良く見えるので、黄斑部の中心窩で物を見る事を止め、周辺部の網膜で物を見るようになります(偏心固視)。見たい物が思うように見えない状態が続きますが、完全に失明する事はまれのようです。瞳孔から眼底を調べる「眼底検査」や、色素を用いた「蛍光眼底造影」で診断されます。
 治療には、新生血管をレーザーで焼き固める「光凝固」と、「新生血管抜去術」や「中心窩移動術」などの手術があります。新生血管が中心窩にある場合は「光凝固」は行えないので、外科手術で新生血管を取り除く手術が「新生血管抜去術」で、網膜をはがして中心窩を新生血管の無い正常な網膜に移動する方法が「中心窩移動術」です。

※黄斑部・・・網膜の中央部には感度の良い視細胞が並んでおり、ここを黄斑部と言い、物を見るために最も重要な所です。
3 日常生活の留意点
 かつては、欧米人に多く日本人には少ない病気でした。近年、先進国を中心に世界的に増えている事から、不規則な生活や高脂肪の食事、長時間の日光浴、喫煙、動脈硬化や高血圧などの循環器障害が誘因になると考えられています。食生活や生活習慣に気を付け、中高年になったら1年に1回は検診を受けましょう。また、毎日片眼ずつ、時計や方眼紙などを見て、ゆがんで見えないかどうかチェックする習慣をつける事も良いでしょう。また、一度この病気にかかった人は、同じ目に再発したり、もう片方の眼にも起こる率が高くなるので、定期的に眼底検査を受ける事も大切です。
 戸外の明るすぎる所では眩しさを強く感じ、見えにくいので遮光眼鏡をかけます。
4 教育上の支援
漢字学習では、画数の多い文字の細かい部分の理解、長さ・重さの学習では目盛りの読みとりに困難が見られます。
疾患の症状としては、中心暗点(見ているものの中心部が見えにくくなる)や色覚の異常があるため、教材は、線を太くしたり本人が判別しやすい色分けをしたりして、細かい部分がわかるようにします。
・文字サイズも、見やすさは個々にまちまちなので、本人に合った文字サイズに拡大します。
・拡大読書機やルーペなどの補助具の使用については、効果のある場合とない場合があります。補助具を使用しても、必ずしも見えやすいとは言えません。効果があれば、補助具の使用を進めます。
・障害の度合いによっては、点字の学習をはじめます。
・羞明がある場合は、教室の照度に配慮したり遮光レンズを使用したりします。
など、ひとりひとりに応じた支援が必要です。
5 参考文献
(1)「眼疾患 説明の仕方と解説」 金芳堂 
(2)「現代の眼科学」 金原出版
(3)「リハビリテーション医学全書12 視覚障害第2版」 医歯薬出版
(4)「NHK きょうの健康  2002,6」 NHK放送出版協会
(5)「遺伝子病マニュアル 下」 中山書店
視神経萎縮
1 疾患の概念
視神経の損傷によって起きる永続的な視覚障害です。視神経は、脳によって処理される、眼からの情報を運ぶケーブルのような機能を果たしています。視神経は100万以上の細かい神経線維(軸索)からなっています。いくつかの軸索が損傷を受け部分的障害が発生するものから、ほとんどの軸索が損傷を受け相当の障害が発生するものまであります。原因は、視神経路の腫瘍、緑内障、網膜色素変性症、出産前後の血液または酸素の供給不足、外傷、水頭症、遺伝などがあります。
2 症状
種々の程度の視力障害がみられ、視野も種々のタイプや程度の欠損が生じます。
3 日常生活の留意点
原因疾患がある場合は、その疾患の医療的な管理が必要です。
4 教育上の支援
原因疾患によって症状は異なります。
障害の度合いもひとりひとり大きく異なるため、個々に対応した支援が必要なります。
・教材は、本人の見やすい文字サイズに拡大します。
・必要に応じて、拡大読書機やルーペなどの補助具を使用します。
・明るさが必要な場合は、窓側の席にしたりZライトを使用したりします。
・羞明がある場合は、壁側の席にしたり遮光レンズを使用したりします。
・障害の度合いや進行性の有無を考慮の上、必要に応じて、点字学習を開始します。
などがあげられます。
また、自分の疾患を理解させたり現存視力の保護の方法を知らせたりすることも大切です。
進行性のある疾患やレーベル病のように数ヶ月のうちに視力が低下する疾患がある場合は、不安を抱えているものが多く、心のケアも不可欠です。
5 参考文献
(1)「小児視覚診断用紙:家族と専門家のための情報と資料」 Blind Babies Foundation, 大阪教育大学教育学部発行
(2)「現代の眼科学」 金原出版
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