1.研究主題
キャリア発達を促す専門教科のあり方
〜自立へのステージアップを促す授業改善〜
(2)主題設定の理由
本校は、職業学科を置く高等部単独の特別支援学校として「社会自立・職業自立」を目指す教育の充実を目標にしている。これまで、「キャリア発達」を促す支援の工夫に焦点を当てた実践的な研究を進め、「自立」のためのよりよい支援のあり方を追求しながら「キャリア教育」の実践を深めてきた。キャリア教育は全ての教育活動を通して実施しているが、特に中核をなすのは「専門教科」の授業であり、その授業数は週15時間、3年間でおよそ1300時間にも達する。本校の専門教科の特色は各専門コースに分かれて行う「もの作り」と「サービスの活動」で、それらの活動を通す中で「働く力」の基礎・基本の定着を図っている。その活動は専門的な知識・技能の習得のみならず、働くことの意義や大切さの理解を促し、「労働意欲」や「態度」を伸長させる「心の教育」に力を注いできた。
平成22年に第二キャンパスを開設し、新学科(福祉・流通サービス科)の設置とともに120名の新入生を迎え入れた。大幅な定員増と予想されるニーズの広がり、新学科の開設などを背景に、次の二点が課題として明らかになった。@新しいキャンパス作り、A新しい職業教育の構築である。
@新しいキャンパス作りでは、大幅な定員増に対応すること、生徒のニーズの広がりに合わせた実践を進めること、新しいキャンパスでもこれまで通りキャリア教育を推進させること、第二キャンパス(1・2年生)の活動から本校舎(3年生)の系統的かつ発展的な活動を構築することが主な課題として明らかになった。
A新しい職業教育の構築では、120人体制における専門教科を充実すること、新学科「福祉・流通サービス科」を立ち上げてサービス主体の専門教科を充実させること、これまで築いてきた「もの作り」と新しい「サービス」の活動を取り入れた専門教科を充実することが主な課題として明らかになった。
課題解決を進め、新しい時代や環境に対応するためには、これまで実践してきた専門教科の取り組みを充実し、専門教科の取り組みをベースに教育活動全体の充実を図ることが重要であると考える。専門教科の充実を図ることで大きな節目を乗り越え、専門教科の実践を「キャリア発達の視点」から深化させることでより発展的な取り組みにしていくことができるからである。本研究では、専門教科の授業改善と支援の工夫に焦点を当てて取り組み、本校の教育活動全体の土台を固めていきたい。そして、新しい時代や新しい環境に対応したキャリア発達を促す専門教科のあり方を明らかにすることで、本校のキャリア教育をさらに充実していきたいと考える。以上の理由から、研究主題を設定した。
2 目的
生徒の実態を的確に捉え、共通理解し、授業改善と支援方法の工夫により、生徒が主体的に「社会自立・職業自立」へ向かう環境を整え、一人一人のステージに合わせた支援を行うことでキャリア発達を促す。
3.研究期間
今年度は3年計画の3年目でありまとめの年度である。第二キャンパス開設による定員増、新設学科の設置から3年目となり、新しい形でスタートした学年が3学年全てそろう年度である。専門教科の取組を中心に本校の新たな取組、本校のキャリア教育等についてまとめていきたい。
平成24年度研究講師
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科
特認教授 渡辺 三枝子氏
京都市教育委員会指導部総合育成支援課
専門主事 森脇 勤氏
独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
主任研究員 菊地 一文氏
国立大学法人静岡大学大学院教育学研究科
教授 渡辺 明広氏
千葉県教育庁教育振興部特別支援教育課
指導主事 小倉 京子氏
研究のまとめ
平成24年度研究紀要「実践のあゆみ第16号」(pdfファイル2.5M)