サイエンスツアーとポスター発表


1 概要
 このプログラムは、1年生理数科40名を対象とした、夏休み1泊2日の校外学習です。
「サイエンスフィールドワークとポスター発表」
@ 事前学習とテーマ設定(6・7月、3時間)
A サイエンスツアー(1泊2日)
7月21日(金)・・・平成29年度の例
 神奈川県立生命の星地球博物館(地球の誕生や生命の進化に関する班別学習)
 神奈川県温泉地学研究所(温泉のしくみ、火山や地震観測の実際)
 夜の学習会(1日目の学習の振り返りとポスターの検討)
7月22日(土)・・・平成29年度の例
 環境省箱根ビジターセンター(箱根の環境について)
 自然観察ハイク(協力・箱根パークボランティア)
B ポスター作成(8・9月、4時間)
C ポスターのプレゼンテーション(9月、2時間)
D 評価・ふりかえり(9月、Cと同時)
[事後学習]高校生理科研究発表会見学(9月、千葉大学)

 従来、このような校外学習では、「博物館での学習や、野外活動をとおして、自然の特徴や環境のありかたを理解する」といった「理解する」ことをねらいとしていました。
 本プログラムは、こうした従来の学習から一歩踏み込み、2年次に行なう課題研究のために必要な資質・能力や、探究のプロセス全体を俯瞰して、自己の状態を判断できる能力(メタ認知的学力)を身につけることをねらいとして加えました。「学習を通して理解する」という従来の目標と「学習を通して何ができるようになるか」という実践的な目標が2本柱となっています。新たな目標は、例えば、「具体的なテーマが設定できるようになる」「合理的な取材ができるようになる」「情報を分析して解釈できるようになる」「分かりやすく発表することができるようになる」「自己の状態を自分で判断・評価できるようになる」などです。そして最終目標は、「主体的に探究活動ができるようになる」です。
 活動は、1グループ4名の班別活動として行ないます。生徒たちは、自分たちが決めたテーマに沿って取材を行い、帰校後、それらをまとめて模造紙でポスターを製作して発表を行います。
 発表時間は各班5分間。発表会には、校長、教頭、学年主任、引率職員が参加しましす。プレゼンテーションの評価は、生徒たち相互による観点別評価を行いました。

2 評価について
 「サイエンスフィールドワークとポスター発表」全体の評価は、ワークシートやしおりの提出など、複数の標本に基づいた総合的な評価を行なっていますが、ここでは、プレゼンテーション(ポスター発表)の評価について詳しく説明します。
 評価とは、生徒の学習の状態を掌握し、指導や学習のありかたを改善するための確認作業です(決して点数をつけるための作業ではありません)。よって、学習の目標と評価は一意対応である必要があります。同時に、その目標は生徒と教員が共有していることが重要です。このことから、本プログラムでは、以下のようなプロセスで学習を進めています。
@ 学習の目標を明確に伝えた
 学習開始前(本プログラムでは事前学習)に、生徒に対して、この学習を通してどのような力を身につけるのか(何をできるようにするのか)と、なぜそれが必要なのか(理由)をはっきり伝えています。これは、わかりやすい目標とゴールを提示することにより学習のモチベーションを高める(その気にさせる)とともに、学習の各過程において、自分たちがどのような力を高めようとしているのかを常に意識させることが大切だからです。
A 評価項目を事前に伝える
 単に「よい発表を期待しています」だけでは生徒の力を伸ばすことはできません。どのような基準で判断すればよいのか、具体的に伝えることが大切です。そこで、6月の事前学習の場で、ポスター発表の評価項目を提示して理解させています。この項目が、テーマの決定、取材、ポスターの製作や発表など、それぞれの過程で一貫した観点となります。生徒たちは、これらの評価項目を満たすことを念頭に作業を進めていきます。

[ポスター発表の評価項目]
ア 伝えたい内容が相手に的確に伝わっているか。知らない人でも理解できる説明か。
イ 論拠を示して科学的に考察・提案ができているか。
ウ 発表にふさわしい態度で、礼儀正しく行うことができたか。
エ ポスターは分かりやすくデザインされているか。思わず引きつけられる魅力はあるか。









<ポスター発表のフロー図>






<生徒が記入した評価表の例>




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