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栄光の歴史　その１

明治～大正

明治35年創部

　最初は東京高等師範学校水泳部と一緒に練習をし、指導は高等師範の教師に委託した。
明治40年度からは卒業生中の技能秀抜なものに教師を委託した。これらの卒業生は母校のために熱心に指導にあたってくれた。
7月21日から8月10日までを校友会水泳として、明治40年からは午後1時から5時まで練習をした。


文部省主催の水泳講習会の記念写真（安房中教諭も参加）		安房中校友会水泳部の記念写真

大正初めの写真　

明治44年

　館山湾で第6回関東水泳大会が挙行された。海での競泳は一斉スタートではなく、各自の時間を測定したが、波の影響もあり難しい勝負であった。参加校は高師、一高、早大、外語、開成中、川越中、付属中などで安房中は全種目を制覇して完全優勝した。午後は泳法の披露であった。

　水泳がまだプール競技ではなかった時代、鏡ヶ浦は水泳において関東の中心であり、明治の末期頃から必ず年1回8月に関東大会が開催された。上級の学校が主に参加したものだが、その中で安房中は常に優秀な成績を収め、「河童中学」の異名をとった。

大正6年

水泳部選手が東京で催された極東オリンピック大会に出場し、極東記録を書き換えるなど大活躍した。

その後、水泳人口が増えるにしたがい、鏡ヶ浦の水泳大会も中止され、次第に振るわなくなってきた。時代は海で泳ぐ水泳から、プールで泳ぐ水泳に変化しつつあった。大正10年頃に本校でもプールの建設計画が立てられ、募金活動に入っていたが、関東大震災のためお預けとなってしまった。

大正１４年

板張り５０mプールが完成し、不自由ながらプールによる競泳の練習ができるようになった。しかし、周囲は板囲いであるので、時が経てば徐々に腐蝕し、大雨など降ると、そのわずかな隙間から砂が流れ出し、プールの側面を埋めてしまう。昭和３、４年ごろのプールの様子を回想して水泳部OBの中村悠氏（中26回卒）　は次のように書いておられる。
　　「汐入川の河口に板で囲った５０mプールがあった。満潮時に半かん水が流れ込んで満水になる仕掛けになっていた。完成式に神主が　「此ノ水溜り…・」と祝詞をあげたという。３、４年の頃は板囲いは傾いて土砂が流入して両端のコースは泥沼と化して使用できず、一度生徒達が泥上げをしたが、木の透き間にはドブネズミが住み、水の循環もままならず、ハゼ、ウナギの養魚池と化し、水は緑色になって、泳いだ後で口を拭えば、藻が手に付き、ターンの時、板を蹴るとすべった。誰いうとなく「ションベンプール」　といった。それでも、ここでベルリンオリンピック大会の水泳の日本代表となった本田惣一郎が生まれ、本校のみならず、近くの小学校や青年団の大会も行われたが、私たちが卒業後間もなく、コンクリートの２５mプールに変った。」


板張りプール（昭和４年）	コンクリートになったプール (昭和13年の写真）

昭和～平成

昭和４年６月１４日　
　
　水泳部の選手たちは、この悪条件の中で黙々と練習に励み、ついに昭和４年、関東の覇者となり、往年の栄光を取りもどしたのであった。

関東中等学校水泳大会　　
１００mバック決勝　三着、　１００m自由型決勝　四着、　　２００mブレスト決勝　一着、　２００mリレー決勝　一着

　於　早稲田大学プール


関東中等学校水泳大会	東部地区高等学校選手権水上競技大会競泳優勝	日本男子高等学校選手権水上競技大会

昭和13年の卒業アルバムより


優勝記念	駅頭での出迎え	校内水泳大会の模様

昭和22年　中等学校水上競技大会で完全優勝

　千葉県中等学校水上競技大会で、各個人種目すべてに一、二着を占め、三種のリレー種目でも、圧倒的強さで一着となり、まさに完全優勝を飾った。全国中等学校選手権大会及び国民体育大会両大会の千葉県代表となり、さらにその両大会でも優勝することとなった。戦前にも、関東大会十連覇を始め、数々の実績があったが、全国制覇の偉業はこの年が初めてであり、まさに空前の快挙であった。
　ひとり本校のみならず、郡市を挙げてこの快挙をたたえ、勝利の美酒に酔った。また、戦後沈滞していた全校生徒の志気を大いに盛り立てた功は多かった。当時生徒であった池田洋之の日記を紹介しよらう。
　　″昭和22年8月5日。午前9時に新聞が飛び込んで釆た。いつもなら午後3時頃でなければ配達されないのに今日は珍しい。　第二面に大きな見出しで「水の王者安房中勝報に湧く」大阪宝塚プールで行われた全日本中等水上競技大会に優勝した昨日の4日のことが出ていた。同級の出口靖が背泳ぎで立派な記録を出したのは何としてもうれしい。すぐ大阪へ飛んで行って労をねぎらってやりたい。みんなで、米、卵、みそ、野菜やお金を出し合ったのが大きな力になった。よかった……・。″とあるが、これは全校生徒共通の気持であったであろう。
　上記大会の記録を簡単に記しておこう。
　
成績（本校のみ）　（いずれも決勝）
100ｍ自由型　3着仲村武平、200ｍ自由型　4着仲村武平、400ｍ自由形　5着柴崎寅男、100ｍ背泳　1着出口靖　6着三瓶英五
50m背泳　2着出口靖、200ｍ平泳　1着原茂樹、　400ｍ平泳　1着原茂樹、200mリレー　2着　2分0秒8、800mリレー　10分22秒
得点　安房中　46点、　高知商業　39点


昭和22年全国中等学校選手権大会優勝		庄司敏夫氏昭和３９年東京オリンピック800mリレー第3位

昭和43年　水泳部に水球チーム誕生

体育の上野正裕教諭が着任して「高校のスポーツクラブはまず社会性を養うことにある。その意味で競泳の伝統を生かし、チームプレーを身につけさせようと水球チームを育てた」という。
その水球チームが昭和47年には県下高校水球新人大会で優勝し、翌48年には若潮国体にて見事全国優勝を飾った。


昭和48年第28回国民体育大会	昭和49年インターハイ優勝	昭和49年第29回国民体育大会	昭和52年インターハイ第3位	昭和52年国民体育大会


昭和48年若潮国体にて	昭和49年インターハイ優勝	昭和48年インターハイ２位昭和49年インターハイ優勝

水球チームハワイ遠征　　　昭和49年3月25日～30日

　本年度インターハイ準優勝、若潮国体で見事優勝を飾り全国のトップに立った本校水球チームは、日本優秀チームとしてハワイ遠征を行った。
　48年11月18日の日本水泳連盟総会の席上、優勝チームとしてハワイ遠征が承認された。

　遠征が本決まりになり、選手一同大いに張り切り練習にも熱が入った。また、諸手続きも慌しさを加えたが、問題は自己負担の経費をいかにするかであった。この問題も川名正義県水泳連盟名誉会長（中15回卒）、海老原市郎同会長（中20回卒）らの音頭で募金が始まったところ、OBはもとより、地元館山市の有志、県内有志が快く応じてくれて、すぐ目標を達成することが出来た。寄付金とは別に船形の三平泰治氏（中35回卒）より房州うちわが寄せられ、ハワイへの土産となった。準備整い3月25日館山発15時9分のさざなみ4号で激励の見送りを受けて出発した。
ハワイでの戦績　五勝四敗
　この遠征について、遠征チーム総務として同行した岩瀬和博氏は水泳連盟記念誌「征波五〇年」に次のように記している。
　「安房高の選手は実に真面目であった。大沢監督、上野コーチの指導もあっただろうが、終始、競技に中心がおかれ、いわゆる観光的な気分は少しもなかった。その、高校生らしい態度は日本で成果を期待している関係者のそれに副うものであった。　僅か一週間ほどの遠征であったが、選手達にとっては貴重な体験になったと思う。国内の競技会では得られないものを体得したにちがいない。スポーツのもつ純粋さと、スポーツをとりまく人間関係の素晴しさは、やはり国際的な競技会を通じてはっきりとわかるものであった。　これからの日本は、益々国際社会へ入ってゆくことであろう。　その意味からも、少なくともスポーツ選手はどんどん国際交流を盛んにし、国際人としての感覚を身につけなければならない。千葉県の安房高校水泳部が、この面においても多くの成果をあげたことを記して賞賛したい。」

その後の水泳部の活躍


昭和４７年鹿児島国体	昭和５７年第３７回国体	昭和５８年第３８回国体	昭和５２年


昭和４６年	昭和４９年茨城国体	昭和５６年	昭和５９年


平成６年	平成３年度	昭和６１年度

平成1０年水球兼用屋内プール完成

水球兼用屋内プール竣工式の模様

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