第90回全国高校野球選手権記念東千葉大会を振り返る

この戦評は、安房高校OBの岩井裕章さんが作ってくれました。
  安房高校を応援しているので、安房戦は安房高校サイドで書かれていますが、
  次の東総工業戦、東海大望洋戦と成国を応援してくれています。
  是非お読みください。岩井さん、貴重な記録をありがとうございました!

安房高野球部は、世代が代わり、
来春のセンバツ甲子園出場を目指して
始動していると思います。

さて、その一方で、安房を倒した、
成田国際はどうなっているのでしょうか?
帰ってきてから成田国際のホームページを見ると、
野球部の情報の発信が充実しており、
元パソコン委員会の私としては見習ってほしいな、
と思っています。
また、応援も非常に統率の取れたうまい応援で、
野球もエラーの少ない締まった野球をしています。

このため、私は安房高野球部を応援するという
基本スタンスは変わりませんが、成田国際が
この夏の甲子園に向けて歩むその過程も
追いかけていこうと思います。

さて今日の成田国際は準々決勝、相手は東総工業、
近年めきめきと力をつけてきている、Aシード校です。

それでは試合を振り返ります。

成田国際の先発は安房戦と同じくエース左腕・山口くん、
対する東総工業の先発はエースの高橋くんではなく、
菱木くんでした。どうやら東総工業の監督は、
エースを準決勝、決勝に温存したかったのでしょう。

しかしBシード安房を倒した成田国際、そうは問屋が
卸しません。2回裏の成田国際の攻撃で、先頭の小山くんに
フォアボールを出すと、すかさずエースの高橋くんが
マウンドに向かいます。東総工業の計画は、ここで
狂ってしまいました。

それでも最初にチャンスを作ったのは東総工業、
3回表、1アウトから8番の篠塚くんがセンター前ヒット、
9番高橋くんが送りバント、1番吉田くんがフォアボールで
歩きます。しかし後続の2番打者が三振、
成田国際はピンチを免れます。

4回は両校ともスコアリングポジションに
ランナーを進めます。しかしながら両校とも
得点ならず、4回を終了して0−0のままです。
力の差がほとんどない両校の対戦となりました。

先制したのは成田国際でした。5回の裏、
2アウト後、3連続ヒットで満塁とした後、
2番の芝野くんがフォアボールを選び、
押し出しで1点を先制します。
しかし東総工業も後続を断ち、成田国際の
先制は1点にとどまりました。

そして東総工業もすぐ反撃に出ます。
5回の裏終了後の成田国際の
Take me out to the ball game
(これを歌うのは国際高校らしいですよね^^)
の直後の6回表、1アウト後、
ヒットと内野手がはじいてしまった2ベースヒットで
1アウト3・2塁と攻めます。
ここで4番の菱木くん、ライトへの犠牲フライで
同点に追いつきます。
しかし成田国際は後続を断ち、同点で食い止めました。
このときの3アウト目のセンターフライ、
浅くて落ちそうになったのですが、センターの岩渕くんが
よく捕球しました。今日の好プレーです。

その後、6回裏〜8回裏までは、両校ともチャンスを
作るもののホームが遠く、点が入りませんでした。
特に8回の裏の成田国際の攻撃では、
2アウト後から3連打で満塁とするも、後続が
続かず、無得点に終わりました。

しかし、同点で9回を迎えると、必然的に
裏のチーム、つまり今日の試合では成田国際が有利になります。

9回表、成田国際はきっちりと三者凡退で東総工業の
攻撃を抑えると、その裏、先頭の8番山口くんがヒットで
出塁します。そして9番の片野くんがサードに上手な
送りバント、そして敬遠とデッドボールで1アウト
満塁とします。そして3番の多田くん、打った打球は
センターへのフライ、東総工業は捕球しすばやく
ホームに返球しますが、成田国際のサードランナーの
山口くんがホームに帰ります。
これにより
成田国際 2x−1 東総工業
で、成田国際のサヨナラ勝ちです。

この試合ではエラーがひとつもありませんでした。
そして両校の力量はほとんど同じでした。
どちらが勝っても不思議ではありませんでした。
しかし、成田国際の「団結力」が一枚上手だったのでは、
と感じています。選手もそうですが、
今日も応援団が本当に素晴らしかったです。

さて成田国際はこれでベスト4、次の準決勝の対戦相手は、
またもAシード、東海大望洋です。
もう準決勝なので、どこの学校も非常に強いと思います。
しかし、エースの山口くんは本当に好投手です。
必ずや望洋打線を封じ込めてくれると信じています。

そして、安房の分まで甲子園で活躍をしてくれると重います。

がんばれ!成田国際高校!

準決勝 対東海大望洋戦

本日、習志野市秋津球場で行われた、
安房―成田国際戦を振り返りたいと思います。

この試合では珍しく安房は後攻でしたが、
オーダーは全く普段と変わることはありませんでした。

1回の表、成田国際は、1アウト後、2番の芝野くんが
デッドボールで出塁します。そしてすかさず盗塁します。
タイミングはアウトでしたが、安房の選手が送球を
取ることができず、芝野くんは一気に3塁まで進みます。
そして3番の多田くんはぼてぼての内野ゴロ。
バックホームしますが、キャッチャーがボールをこぼし
ランナー生還。
安房 0−1 成田国際
と先制を許します。

1回の裏、安房はすかさず反撃したかったですが三者凡退、
2回の表の成田国際も三者凡退に終わりました。

安房にとって最初のチャンスが訪れたのは2回、
4番の鹿嶋くんがレフト線に大きな2塁打を放ちます。
フェンスの上段に当たったので、あわやホームランという
大きな当たりでした。そして5番の佐藤くんが
バントをしますが、相手のファーストがお手玉。
ノーアウト3・1塁とチャンスが広がります。
そして6番の田中くん、サードゴロで送球が
セカンドに送られる間に、3塁ランナーの鹿嶋くんが
ホーム突入を狙いますがアウト、セカンドですが、
足が離れたようにも見え、佐藤くんもアピールしますが
アウト。サードゴロ併殺、2アウト1塁となり、
後続も続かず、絶好の反撃機を逃してしまいました。

次にチャンスを作ったのは成田国際でした。
4回の表、1アウト後、4番の小山くんが2塁打、
続く立崎くんがフォアボールで歩き、5番の渡辺くんが
バント。2アウト3・2塁のチャンスを作ります。
そして7番の寺内くん。打球はかなり弱いセカンドゴロ。
この打球の処理を、ファーストが取ることができず、
セカンド内野安打でまず1点、カバーに入った選手が
ランナーの行方を見失う間にセカンドランナーも帰り、
もう1点。
安房 0−3 成田国際
とリードを広げられてまいます。

しかし4回の裏、安房もチャンスを作ります。
3番鈴木くん、4番鹿嶋くんが連続ヒットで
1アウト3・1塁。しかし、サードライナーの後、
1塁走者が2・1塁間で挟まれる間に3塁走者が
ホーム突入しますが、アウト。またしても得点を
奪うことができませんでした。

しかし安房もこのまま終わりません。
6回の裏、1アウト後、2番の渡辺くんが
ライトに2ベースヒット。次の打者は三振に倒れますが、
4番の鹿嶋くんがセンターにタイムリーヒット。
安房 1−3 成田国際
と1点を返しました。その後、連続フォアボールを
もらい、2アウト満塁のチャンス。
一打同点、逆転のチャンスでしたが、
後続の打者が残念ながら三振。
反撃は1点どまりでした。

そして成田国際はこの後の7回表に安房を攻め立てます。
先頭の9番方野くんが2ベースヒットで出塁すると、
1番の岩渕くんはサード内野安打。
あせったサードは送球がそれファーストが取れず、エラー。
これでまた成田国際に1点取られます。
キャッチャーファールフライ、ヒット、2塁盗塁をはさみ、
1アウト3・2塁。ここで4番小山くんの打球は
ぼてぼてのショートゴロ。ホームには投げられず、
また1点を取られ、4点差と水を空けられてしまいました。

終盤の4点差で、相手投手の山口くんは元気づきました。
安房打線は山口くんの前に7回以降ランナーを一人も出せず、
7〜9回は三者凡退に抑えられ、最後のバッターも三振に
打ち取られ、万事休す。

安房 1−5 成田国際

と完敗です。今回の夏の甲子園を「夢の続き」と表現して
ありました(選手名鑑より)が、この「夢の続き」は
幻となってしまいました。

安房の敗因は、実に6つも出てしまったエラーだと思います。
失点がエラーにからむケースがとても目立ちました。
春のセンバツ、春の県大会でも、エラーが目立った試合は
負けを喫していましたが、この試合でも例外では
ありませんでした。そして成田国際のエラーの数は2。
エラーの数の差がそのまま失点の差となってしまいました。
キャプテンの岩澤くんは試合後のあいさつで、連戦で
疲れが抜けなかった、と行っていましたが、その疲労が
エラーを生み出した背景としてあるのかもしれません。

しかし、2007秋〜2008年夏の安房のナインは
本当によくがんばりました。
2007年の秋の大会では県で準優勝、関東大会で
0−1と、負けはしましたが好ゲームをし、
春のセンバツで21世紀枠で甲子園に出場、
そして初戦の城北戦で見事に勝つことができました。
その後は他校のマークが厳しくなり、なかなか思うように
勝てなくなってしまいましたが、選手のがんばりは
健在でした。私は心から、彼らに、よくやった、おつかれさま、
との言葉を送りたいと思います。

皆さんにもお願いです。この夏、安房高野球部は甲子園には
出場することができませんが、くれぐれも、
期待を裏切ったとか、この夏は弱かったなどといった
中傷はしないでください。私が現役高校生だった頃、
甲子園が近づいた年、やはり敗退してしまって
このような声が一部から聞こえました。非常に残念でした。
彼らは春の甲子園同様、全力でプレーをしました。
そこは何一つかわっていません。
ですので、暖かく3年生を送り出してあげたいと思います。

さて、3年生は残念ながらこれで引退となります。
しかし、この後、大学受験、一部選手は就職活動が
控えていると思います。この2年と少しの間がんばってきた
何かを、今度はこれらに生かしてほしいと思います。

そして2年生、1年生と、将来安房高野球部に入部する
中学生以下の野球少年は、今回の3年生の無念の思いを、
自分たちの代で晴らしてほしいと思います。
私も全力で応援します。そして、なるべく球場に足を運び、
観戦した結果はこのように記事にしていきたいと思っています。
私も甲子園の記事を再び書くことができず、残念ですが、
(春の甲子園の記事もあります。3月24日と29日の
 記事をご覧ください。)後輩たちがきっと、
再び記事を書く機会を与えてくれると期待しています。

おつかれさま!安房高野球部!(for 3年生)
がんばれ!安房高野球部!(for 2年生以下)

準々決勝 対東総工業戦

本日、千葉マリンスタジアムで行われた、
成田国際―東海大望洋の試合を振り返りたいと思います。

先発は両校ともエース同士。成田国際は山口くん、
東海大望洋(以下望洋と表記)は佐々木くんでした。

まず1回表、成田国際の攻撃、二者連続三振から始まり、
三者凡退に抑えられました。そしてその裏の望洋の
攻撃、先頭の佐久間くんにいきなりセンターオーバーの
2ベースヒットを打たれます。そして手堅く
送りバントとスクイズで望洋が1点を先制します。

成田国際の反撃は3回表、先頭の山口くんがヒット出塁、
1アウト後、1番岩渕君がヒット、2番芝野くんが
フォアボールと1アウト満塁とチャンスを作ります。
2アウト後、4番の小山くんはレフトにタイムリーヒット、
二者生還し、
成田国際 2−1 東海大望洋
と逆転に成功します。

しかし望洋も強いです。直後の3回裏、1アウトから
2番の菊川くんがショートへの内野安打で出塁、
盗塁とワイルドピッチで3塁に進むと、3番の田島くんは
その打席でセンターに犠牲フライを打ち、
成田国際 2−2 東海大望洋
と同点に追いつきます。

さらに4回裏、デッドボールで出た6番の田村くんを
送りバントで2塁に送った後、8番の常泉くんが
レフトにタイムリー2ベースヒットを放ちます。
これで
成田国際 2−3 東海大望洋
と望洋が逆転します。

5、6回は両者ともランナーを出すも得点なりませんでした。
準決勝らしい、非常に緊迫した展開になります。

しかし望洋の打線が7回裏に成田国際に襲い掛かります。
打者10人、ヒット7本で5点を奪い、
成田国際 2−8 東海大望洋
となります。
それでも最後の方、2アウト2塁からセンター前にヒットを打たれ、
ランナーが帰れば7点差となりコールドとなる場面でしたが、
ランナーを3塁でとめ、後続を断ち、なんとか成田国際は
コールド負けは逃れました。

そして8回表、成田国際が反撃に出ます。
2アウト2塁から3番の多田くん、ライト前への
ヒットでしたが、ライトが前進した際にボールを後逸、
ランナーとともに一気に多田くんも生還、
記録ヒットでランニングホームランです。
成田国際 4−8 東海大望洋
となります。

しかし反撃をするには6点差は重過ぎました。
成田国際は9回の裏は打者3人で攻撃が終わってしまい、
結局
成田国際 4−8 東海大望洋
で敗戦し、甲子園出場はかないませんでした。

成田国際は望洋の投手に実に17の三振を奪われました。
この三振の多さが勝敗を分けたのではないでしょうか。
しかし成田国際の山口くんも、毎回のようにランナーを背負い、
多少得点は許しますが、コールド負けは許しませんでした。
7回の5点がなければ勝利していただけに、
成田国際にとって惜しい試合でした。

成田国際は甲子園出場はかないませんでした。
しかし、Bシード安房、Aシード東総工業を
なぎ倒し、ベスト4。かなり立派です。
昨年の安房も、AシードとBシードをなぎ倒し、
市船の前に破れベスト4でした。
しかし、その悔しさを後輩が受け継ぎ、
秋の大会で県準優勝、関東大会でも
初戦で負けはしたものの1点差、
そして21世紀枠で翌春のセンバツ甲子園に
出場することができました。
成田国際もこの悔しさを後輩が受け継げば、
必ずや来春の甲子園に出場できると思います。

私には今年の成田国際が、去年の安房のように見えます。
なので、来春はセンバツ甲子園に出るのでは?
と予想しています。
この夏のメンバーも2年生が多く、悔しさを
秋にぶつけることには十分です。

3年生は長い間、野球を続けてきて、最後、
敗れはしたものの、千葉マリンで野球ができたことを
今後の財産にしてほしいと思います。
甲子園は、後輩に託して、少し休んで、
次に大学受験や就職活動に全力を尽くしてほしいです。
とりあえずは、おつかれさまでした、と声をかけたいです。

最後に、成田国際は野球の内容はもちろん、応援も、
そして、ホームページの情報発信の濃さも、
非常にさわやかな学校でした。
今後も安房と並んで、成田国際を応援していこうと思います。

おつかれさま!成田国際高校野球部!(for 3年生)
がんばれ!成田国際高校野球部!(for 2年生以下)

第3回戦 対安房高校