平成28年度 千葉県立船橋高等学校 定時制の課程
入学式 
     
     
式  辞

桜の花の咲き競い、さわやかな春風に包まれ、春爛漫の季節となりました。
 ただ今入学を許可されました89名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
 また、晴れてお子様の入学を迎えられました保護者の皆さまに心からお祝い申し上げます。
 さて本校は、大正9年10月に創立され、昭和25年に定時制課程が設置され、まもなく創立百周年、定時制設置から70年を迎えようとしています。
 この歴史と伝統のある本校に入学された皆さんは、これまで様々な事情があったかと思いますが、きょうが新たな出発の日です。これまでの自分をリセットし、高校卒業の資格を取るんだという強い気持ちをもって、本校での生活をスタートさせてください。
 本校に入学した皆さんに、本校での生活を充実したものにするために心がけてほしいことを、2つお話します。

 一つには、人との出会いを大切にしてもらいたいということです。
 皆さんは、それぞれ様々な動機から本校を志願し、試験を通り、入学してきた共通の経験を持っています。
そして、この学校で学ぶことになった縁を持っています。
この縁、この出会いを大切にし、勉強だけに限らず、部活動やクラスメートとの交流の中で、多くのことを学んでほしいと思います。
 クラスや部活動、先輩や先生方、地域の方々など皆さんに関わる多くの人との出会いを大切にしてください。

 二つには、プラスワンということです。
 毎年4月1日、伊集院静さんの「新社会人へ」と題する広告が新聞各紙に載ります。東日本大震災の翌年平成24年4月に載せられた文章の一部を紹介します。これからの高校生活への激励の言葉として紹介させていただきます。
 大変なことがあった東北の地にも、今、リンゴの白い花が咲こうとしている。
皆、新しい出発に歩もうとしている。君はリンゴの実がなる木を見たことがあるか。リンゴ園の老人が言うには、一番リンゴらしいときに木からとってやるのが、大切なことだ。落ちてからではリンゴではなくなるそうだ。落ちるリンゴを待っていてはダメだ。木に登ってリンゴを取りに行こう。そして、一番美味しいリンゴを皆に食べてもらおうじゃないか。一、二度、木から落ちてもなんてことはない。リンゴの花のあの白い美しさも、果汁のあふれる美味しさも、厳しい冬があったからできるのだ。風に向かえ。苦節に耐えろ。常に何か挑む姿勢が、今、この国で大切なことだ。
これまでの自分から脱皮し、何かに挑戦すること、今の自分に何かプラスすること。勉強でも、新しい分野にチャレンジしてプラスワン。部活動でも今の実力よりもワンランク上にプラスワン。いろいろな考え方の人と接し、人間力も現状よりもプラスワン。
そして、自分のためだけでなく、誰かのために何かをプラスワン。
今までの自分にさらに付加価値をつけて、ワンランク上の段階に挑んで、本校での高校生活を送ってください。

 結びに、改めまして保護者の皆さまにはお子様の御入学、誠におめでとうございます。
 これからは大切なお子様をお預かりし、教職員一同一丸となって、全力を挙げて指導・支援に努めてまいります。
 学校教育は、学ぶ主体である生徒の向上心と日々の努力が何よりでありますが、加えて保護者の皆さまと私たち教職員との協力・連携があってこそ花開き、実を結ぶものであると確信しております。
 とはいえ、高校時代というものは、心身ともに変化の激しい時であります。お子様の気持ちや行動に対して、今まで以上に関心を持っていただき、何かあれば学校に御相談願いたいと存じます。

 新入生の皆さん、いよいよ船橋高校での生活が始まります。一日一日を無為に過ごすことなく、何事にも果敢にチャレンジし、大きく成長して全員が卒業証書を手にすることを期待して式辞とします。 
  
 
     平成28年4月7日
    千葉県立船橋高等学校長 
 百瀬 明宏