進路指導

 ここ十年間の社会情勢や経済情勢の変化には、目まぐるしいものがある。そのことが、高校生の進路にも大きな影響を及ぼした。

一 就職状況及び傾向

 一九八八年の大型景気の到来以降、各企業は競って採用の拡大を図ってきた。この傾向は、新規高卒者に対しても例外ではなく、本校においても、求人企業は年々増加し、二百数十名の就職希望者に対し、二千社を越える企業からの、求人申し込みが殺到するまでになった。
 当時の傾向として、地元指向がさらに強まったことがあげられる。以前は、三割近くの生徒が県外に就職していたが、当時には一割弱にまで減少してきている。これは、地場産業の充実と拡充さらに、優良企業の県内(地元)への進出に伴い、地元での求人数が大幅に増えたことや、そのころから始まった少子化の影響が大きかったものと思われる。
 また、公務員関係(含農協)への就職者が多くなってきたのも、この頃である。これも、民間企業の求人状況が非常に良かったために、比較的、公務員関係の倍率が低くなってきたからではないかと思われる。
 当時の統計で、平成三年に十八才になる人口が二百五万人であるのに対し、八年後には百四十九万人に激減していくことや、年々高まる高卒者の進学率等を考え合わせれば、高校生の売り手市場は、しばらくの間、続くものと思われていた。
 しかし、平成三年度まで続いた好景気、いわゆるバブル経済も平成四年度には、崩壊することになる。そして、その影響がいろいろな方面に出始めることになる。
 平成五年度においては、深刻な不況の影響が色濃くなり、続く平成六年度は、平成大型不況とまで言われるようになった。就職においては、まさに、「超売り手市場」から一転「冬の時代」「氷河期の時代」を迎えることになったのである。
 求人企業は、毎年のように前年の二割、三割減となり、特に、事務職や販売職は激減し、女子の就職に大きな影響がでた。
 その後、一時は景気も回復基調にあると言われていたが、企業の大型倒産、さらには金融破綻と相次ぎ、杜会情勢は一層厳しいものとなっていった。
 平成十一年七月末時点の、全国の高校生を対象にした求人倍率は、○.六二倍と、労働省が調査を始めた八四年以降で最低となった。千葉県の場合はさらに厳しく、県職業安定課の調べでは、同じく七月末時点での、県内の高校生を対象にした求人数は、三千九百七十八人。これに対し就職希望の生徒数は九千百十二人で、なんと求人倍率は、これも過去最低の○・四四倍となった。つまり、就職を希望しても半数以下の求人しかない状況となった。
 九月末時点での高校生の内定率も、県内の平均が、四一.八パーセントと、過去に例のない数値となった。
 本校においては、県内の平均に比べ、よく健闘してはいるものの、かなり厳しい状況にはかわりない。

二 進学状況および傾向

 四年制大学、短期大学への進学希望者は例年、さほど多くはない。また、そのほとんどが推薦入学である。
 一時は、全国的な進学率の高まりから、特に、首都圏を中心とした大学は、かなり入るのが難しくなっていた。しかし、その後の長引く不況と、少子化による影響か、現在は軟化傾向にある。2009年には、大学の学生の収容人数と、入学希望者の数が逆転するだろうといわれている。
 さらに、最近では、専門高校からの特別推薦枠を設ける大学も多くなり、以前に比べるとだいぶ門戸が広がってきている。
 しかし、そうはいってもやはり、合格するためには一学年のうちから着実に努力を積み重ね、「ぜひ、こういう勉強をしたい」という目的意識をしっかり持って、取り組んでいなければ難しい。
 また、推薦入学は、学力だけではなくスポーツや特別活動(生徒会活動や農業クラブ等)、ボランティア活動、資格取得などで特に秀でたものがある場合も対象となる。それらの特別推薦で入学し、活躍している先輩も多い。
 つぎに、各種専門学校への進学状況であるが、ほぼ四人に一人が専門学校に進んでいる。
 専門学校は、社会に出て直接役に立つ各種資格の取得や、技術・技能の習得を目的とした、職業教育を行うところでもある。したがって、学校及び学科の選択が、そのまま将来の職業につながるわけである。そのため、その時代の社会の要請や産業構造、経済状況に大きく影響を受ける。
 最近の傾向としては、就職難やこれから迎える老齢化杜会を反映してか、特に資格職業と結び付いた分野、たとえば、美容理容師・調理師.栄養士などの衛生分野や、保育・介護福祉士などの教育・社会福祉分野に進む生徒が目立つ。
 最後に、「人問は、一人ひとりが最高の能力を持って生まれてきている。頭が悪いと思うのは、自分のなかで能力を眠らせているだけのことです。できる人はバルブが開いていて、できない人のは閉じている。その程度の差しかないのです。そのことに気付けばよいのです。気付いたときバルブは開く。それだけのことです。人間が生まれてきたのは、この世で自分とは何かを見極めるためなのです。あるいは、生まれてきたからには、何らかの使命を抱えている。その使命を見つけるために生きているのです。それを見つけることが生きがいであり、その追求の過程が人生であり、そのように考えて生きることが大きな喜びでもあるのです。」
 これは、篠原佳年氏のことばである。
 ここに一人ひとりが、生きがいのある人生を送れるよう祈念するものである。